VAIO type PにantiXをインストールする【第2部:USB作成〜HDDインストール】

第1部でOSをantiX-26(32bit)に決めた。
本記事では、Rufusを使ったUSBインストールメディアの作成から、VAIO type PのHDDへの本インストール、
そして初回apt updateでつまずくミラーサーバー問題(ftp.cc.uoc.grへの接続失敗)の解決までを、実際のコマンドとともに記録します。
「antiX インストール 方法」「古いノートPC Linux」で検索してたどり着いた人が、そのまま手を動かせる粒度で書いたつもりです。

  • 第1部:OS選定と機種評価
  • 第2部(本記事):インストールと初期セットアップ
  • 第3部:日本語入力の設定
  • 第4部:メモリ最適化とブラウザ

ステップ1:antiX-26のISOをダウンロード

antiX公式(antixlinux.com/download)から、ミラー経由で以下を選ぶ。

  • アーキテクチャ:32bit
  • フレーバー:full(アプリが一通り入っており、Wi-Fi等のハードウェア対応が最も手厚い)
  • ファイル名の目印:antiX-26_386-full.iso のように「386」が32bitの印

ファイルは約2GB。
※ダウンロード後、公式が併記するsha256チェックサムで破損がないか照合しておくと、後の「なぜか起動しない」というトラブルを避けられる。

ステップ2:USBメディアの作成(Rufus)

Windows機でRufusを使って書き込む。ここでのポイントは**「どのRufusを選ぶか」**である。


Rufusのパッケージ選び

Rufusのダウンロードページには複数の版が並ぶ。
選ぶ基準は**「Rufusを動かす母艦PCのアーキテクチャ」**であって、インストール先のVAIOではない。ここを混同しやすい。

母艦PCの「システム情報 → システムの種類」を確認する。

  • 「64ビット オペレーティング システム、x64 ベース プロセッサ」と書かれていれば → rufus-x.xx.exe(標準・Windows x64)または rufus-x.xxp.exe(Portable)
  • _x86(32bit機用)や _arm64(ARM機用)はこの場合選ばない

一度使うだけなら、レジストリに何も残さないPortable版が後片付けの点で楽。

書き込み設定

  1. 空のUSBメモリ(4GB以上)を挿す
  2. Rufusで「デバイス」にそのUSBメモリを選択(別ドライブを選ばないよう厳重注意)
  3. 「ブートの種類」でantiXのISOを選択
  4. パーティション構成:MBR、ターゲットシステム:BIOSまたはUEFI(type Pは古いのでMBR/BIOSが安全)
  5. 「スタート」→ まず**ISOイメージモード(推奨)**のまま進める。うまく起動しなければDDモードで焼き直す


Grubダウンロードのダイアログについて

書き込み開始時に「このイメージはGrub 2.06-xxを使用しますが、このアプリケーションにはGrub 2.14のインストールファイルのみ内蔵しています。
ダウンロードしますか?」という確認が出ることがある。

これは正常な確認である。「はい」を選ぶ。ISOに合った正しいバージョンのGrubをネットから取得してくれる。
ブート時の不具合を防ぐ最も安全な選択。小さなファイルなのですぐ終わる。


ステップ3:VAIOをUSBから起動する

  1. VAIOの電源を切る
  2. 作成したUSBメモリを挿す(type PはUSBポートが1つなのでそこを使う)
  3. 電源投入直後に F2キーを連打してBIOSに入る
  4. 「Boot」メニューでUSB(External Device / USB Device等)を起動順位の最上位に移動(順位変更はF5/F6や+/-キー、画面下部に操作説明あり)
  5. 「Exit」→ Save and Exit


【実機でのハマりどころ】
F2でうまくいかない場合

私の環境では、以前インストールしていた別のOS(Chromium系)がブート順で先に立ち上がってしまい、F2でのBIOS設定がうまく反映されなかった。

この場合、**電源投入直後にF11(起動デバイス選択メニュー)**を使うのが確実。
BIOS設定を恒久的に変えずに、その場限りでUSB起動を選べる。
CMOSバッテリーが切れているとBIOS設定が保存されない個体もあるため、F11での一時起動は覚えておくと役立つ。


ステップ4:ライブ起動での動作確認(インストール前の相性チェック)

USBから起動したら、すぐにインストールせず、まずライブ環境で以下3点を確認する。
これが通れば本インストールはほぼ成功が見える。

  1. 画面が正しく表示されているか(1600×768という特殊サイズで、はみ出しや大きな滲みがないか)
  2. Wi-Fiが認識・接続できるか ← 最大の相性チェックポイント。type P特有の無線チップにOSがドライバを持っているかがカギ。
    タスクトレイ(画面右下)のネットワークアイコンからSSIDを選んで接続できるか試す
  3. キーボード・タッチパッドが反応するか(テキストエディタを開いて数文字打ってみるのが確実)

筆者の環境では3点ともクリア。特にWi-Fiが標準で通ったことで、インストール後の見通しが立った。


ステップ5:HDDへインストール

デスクトップの「antiXをインストール」アイコン(またはメニュー → システム → antiX Installer)から起動。要点は以下。

パーティション設定

  • **「ディスク全体を使う(use entire disk)」**が最もシンプル。残したいデータがなければ丸ごとantiX用に
  • swap領域は作らない(またはごく小さく)
    理由は第1部で述べた通り、実測25MB/sの激遅HDDにswapを置くと、メモリ不足時にフリーズ同然に遅くなるため。
    メモリ不足対策は後述のzramに任せる(第4部)
  • ファイルシステム:ext4

ブートローダ

  • MBRにインストール(type Pは古いのでMBRが安全)

各種入力項目

項目設定
キーボードモデルGeneric 105-key PC(標準的でこれでOK)
キーボードレイアウトJapanese
キーボードバリアントDefault / 無印
タイムゾーンAsia/Tokyo
ドメイン空欄でOK(家庭で単独使用ならドメインは不要)
コンピュータ名任意(例:antix1。半角英数字・ハイフンのみ)
ユーザー名・パスワード任意で設定
自動ログインチェック推奨(毎回のパスワード入力を省ける。持ち歩く時は後でオフにできる)


キーボード設定の補足

「ShiftJIS」のような文字コードは、この画面の選択肢には出てこない。
ここで設定するのは「キーボードという物理ハードウェアの形」であって文字コードではないため、出てこないのが正常。
日本語配列は「Generic 105-key PC」+レイアウト「Japanese」で正しく機能する。


「Save live desktop changes」について

インストール中に出るこの項目はチェック不要
これはUSBメモリで動かすライブ環境(persistence=永続化)に関する設定で、HDDにインストールする今回の目的とは無関係。
HDDにインストールすれば変更は当然HDDに保存される。


インストール実行

書き込みが始まると、遅いHDDのため10〜20分程度かかる。カリカリ音がしても正常。
ACアダプタは必ず挿したまま(バッテリー劣化個体では特に重要)。完了したらUSBを抜いて再起動する。


ステップ6:最初の関門 ― ミラーサーバー問題

再起動後、まずシステムを最新化しようとして、最初のトラブルに遭遇する。

bash

sudo apt update


これを実行すると、次のような警告が出ることがある。

ftp.cc.uoc.gr ... への接続ができませんでした
InRelease の取得に失敗しました
いくつかのインデックスファイルのダウンロードに失敗しました


原因の切り分け

まずネット自体が生きているかを確認する。


bash

ping -c 3 deb.debian.org

pingが通るなら、ネットワークは正常。原因は特定ミラーサーバーの不調である。

次に、どのサーバーを見に行っているか確認する。


bash

cat /etc/apt/sources.list.d/*.list


私の環境では、antiXのメインリポジトリが ftp.cc.uoc.gr(ギリシャ・クレタ大学のミラー)を指していた。
日本から地理的に遠く、不安定になりやすい。これが警告の原因だった。


解決:ミラーを日本のサーバーに切り替える

設定ファイルを直接編集し、ftp.cc.uoc.gr を日本のミラー(例:JAIST ftp.jaist.ac.jp など)に置き換える。
ただしパスの整合性を取る必要があるため、antiX/MXのRepo Managerツールを使う方が安全で確実。


bash

# GUIのリポジトリマネージャを起動(環境により名称が異なる)
sudo repo-manager


ツール内でミラー一覧から日本(Japan)のミラーを選ぶと、速度・安定性が大きく改善する。

切り替え後、再度更新をかける。


bash

sudo apt update


今度は正常に通り、「アップグレード可能なパッケージが◯個」と表示されれば成功。筆者の環境では285個だった。

ステップ7:システム全体のアップグレード


bash

sudo apt upgrade
  • 285個ものパッケージを遅いHDDに書き込むため、30分〜1時間を見込む
  • 途中で設定ファイルに関する質問が出たら、基本は**デフォルト(現在の設定を残す / keep the currently-installed version)**を選ぶ


【重要】GRUB設定ファイルの質問への対応

アップグレード中、grub-commonの設定ファイルについて「パッケージメンテナの新版を入れるか、現在の設定を残すか」を聞かれることがある。

ここは必ず**「現在インストールされているバージョンを残す(keep the currently-installed version)」**を選ぶ。
理由は、このマシンは既に自力でHDDから正常起動できている=今のGRUB設定は動作実績があるため。
起動まわりは下手に上書きすると起動不能に陥りやすい領域なので、「動いているものは触らない」が鉄則。
デフォルトがこの選択になっているので、そのままEnterでよい。

アップグレード完了後は、カーネル更新を反映させるため一度再起動しておく。


bash

sudo reboot


これでOSの土台が完成した。
次の第3部では、このセットアップで最大の難所となった日本語入力(fcitx5-mozc)の設定を、つまずいた過程も含めて詳細に記録する。


本シリーズは、2026年7月時点の作業記録に基づく。